
院長について
訪問にかける思い
65歳以上人口が3,621万人、
高齢化率が28.9%となった今、
医療は「治す」だけでなく、
痛みや不安をやわらげながら、その日を少しでも良い時間にする"緩和" の視点が
いっそう求められています。
脳梗塞後遺症やパーキンソン病、
加齢による関節の変形や拘縮——
どれも"完全に治す"ことは難しい症状ですが、
その日の生活が少しでも楽になるだけで、表情も心も変わります。
痛みが和らぐと、
「少し歩いてみようかな」「今日は食事が楽しみだ」
そんな前向きな気持ちが生まれます。
そして、その変化はご本人だけでなく、
日々支えておられるご家族の心にも大きな支えとなります。
私は、この"今日の少しの変化"を大切にする訪問施術が、
これからの時代にますます必要だと感じています。

訪問施術を選んだ理由(病院勤務での経験)
病院に勤務していた頃、
「痛みが強くて、通院が辛くて…」
そう話される患者さんによく接していました。
「行き帰りもリハビリだと思って、頑張って通院してくださいね」
そう励まし続けることもありましたが、
しばらく来られないと思ったら、入院病棟におられる——
そんなことが何度もありました。
その経験の中で、
"待っているだけでは、本当に困っている人に届かない"
と強く感じるようになりました。
病院に通うことが難しい方こそ、
本当は一番ケアを必要とされている。
その想いが、私を訪問の道へと導きました。

訪問の良さは、
その日の体調、生活動作、環境まで含めて、
"生活そのものを見ながら施術できること"です。
在宅では、
・痛みが出ない姿勢
・ご家族が介助しやすい動き
・関節が固まりにくい工夫
など、日常生活のヒントがたくさん見えてきます。
施術で体がほぐれ、
少し動きやすくなるだけで、
ご本人の表情が和らぎ、
ご家族が「ありがとう」と笑顔になられる瞬間があります。
この瞬間が、私の仕事の原動力です。
施術者として
これまで、急性期病院のリハビリスタッフをはじめ、
多くの患者さんと向き合ってきました。
関わらせていただいた患者様は、骨折や痛みなど整形外科疾患はもちろん、内科疾患で入院される方、脳梗塞やパーキンソン病など神経系の疾患の方など、様々です。
もちろん現在も、解剖学を通して「触れること」を基本にした学びを大切にしています。
"人体を深く理解すること" が、
痛みや拘縮で苦しむ方の助けになると考えているからです。
ただ、専門性だけでは在宅では十分ではありません。
病院に通うことすら難しい方のお力になりたい。
痛みを少し和らげ、
残された一日の質を上げていただきたい。
その思いを胸に、訪問では
無理をさせない施術と、心の面への寄り添い
の両方を大切にしています。
関節が固まりやすい方でも、
少し動きが楽になるだけで、
ご本人もご家族も気持ちが軽くなります。
「人としての尊厳を、最後まで大切にしてほしい」
その願いに応えるため、
脳梗塞後遺症やターミナル期の方にも、少しでも「楽になった」と感じていただけるよう、
ひたむきに寄り添い続けています。

原点
――小学五年生の夏休みの終わり。
私は怪我で左目の視力を失いました。
病院での毎日は、
これまで経験したことのない痛みと不安でいっぱいでした。
そんな私の足を、
毎日仕事帰りにそっとさすってくれたのが父でした。
ただ黙って、
そっと脚に触れてくれるだけ。
その手の温かさが、
どんな自分でも受け入れてくれているような、
不安や孤独がほぐれていくような、
言葉にならない安心を与えてくれました。
あの時の「触れる力」が、
今の私の施術の根っこになっています。
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訪問施術者として大切にしていること
痛みや麻痺があると、
心もふさぎがちになります。
だからこそ私は、
身体だけでなく"傷ついた心" にも寄り添う施術
を大切にしています。
「さっきより少し楽になった」
そう感じていただける時間を、
ひとつひとつ積み重ねたい。
頑張ってこられたあなた、
そして日々支えるご家族のために、
これからも誠実に向き合っていきます。
2021年8月
河﨑 健